腰痛のメカニズム(おまけ)

おまけの壱

  「腰痛のメカニズム(2)」で、人類が立ち上がるためには腰の反りが重要であることを述べました。 しかし、そこに描かれた絵を見て’おかしいのでは?’と気が付かれた方もおられるでしょう。 支点が腰仙関節(腰椎と仙骨の間)にあると考えると、重心の位置が変わらなければ、背骨が真っ直ぐであろうが湾曲していようが身体を立てるためのモーメントは変わらないのでは…?と。
  背骨が剛体(金属のような硬いもの)であれば、その通りです。 しかし、背骨は剛体ではなく弾性体(竹のように撓(しな)るもの)であるため、湾曲することでモーメントを小さくできているのです。 これがまさに「柔軟・ストレッチ→整体体操」で述べた’脊椎の弾力’です。 すなわち、普段からあまり動かさずに弾力がなくなってくると、腰への負担が大きくなってくるのです。
  体を動かす=背骨を動かすことで弾力が維持でき、腰への負担が軽減できます。 したがって、腰が痛いからとあまり動かないと、慢性的なものになったり余計に悪くなってしまいます。 急性期は安静が必要ですが、ある程度経ったら少々痛くても動くことも大切です。 人の身体は動くことで正常状態を維持できるようにできているのです。

おまけの弐

  最近うつ伏せになって本を読んだことはありますか? 誰でも子供の頃はよくうつ伏せで本を読んだと思います。 うつ伏せ寝は腰に悪いと色々な本に書かれています。 しかし、うつ伏せになって本を読むこともできなくなっているとしたら、あなたは腰痛予備軍ですよ!
  1950年代、それまで腰痛には禁忌とされていたうつ伏せ寝に対して、暫くうつ伏せ状態になることで腰痛が軽減されるいう報告がなされています。 それからずいぶん時間が経ちますが、最近ようやくうつ伏せの効果が見直されてきており、腰を反らす運動が次第に腰痛治療もしくは予防に取り入れられてきています。
  人の身体を支えているのは背筋です。 うつ伏せになって頭を持ち上げることができるのも背筋のおかげです。 たまにはうつ伏せになって顔を上げてみましょう。 そして起き上った後に大きく伸びをしましょう。 腰や背中がすっきりする筈です。

おまけの参

  「反り腰」とは骨盤の前傾が強くなった状態を言います。 仙骨底と恥骨結合上縁を結ぶ線の傾きを骨盤傾斜と言い、解剖学的には直立した状態で55〜60度が正しい傾きだと言われています。 その骨盤傾斜が過度に大きくなっている状態が「反り腰」です。 したがって、下の図に示すように「腰椎の前湾」と「反り腰」とはイコールではないのです。

  下の図は重量挙げの代表選手のMRIです。 腰椎が身体の中心部まで素晴らしい前湾を見せています。 しっかりした腰椎の湾曲と腰に悪いと言われている反り腰とは別物です。


文光堂「美しく立つ」より

おまけのおまけ

  身体を大きく動かすことができるのは腰椎のおかげです。 胸椎は肋骨が付いており、肋骨どうしが肋間筋で繋がっているために動きに制限があります。 腰椎は屈む・反る・捻る・曲げる…これらの運動が自在にできます。 これまで’構造上の設計不良’と言ってきましたが、人が2本足で自由に動き回れる構造を作り出した素晴らしい工夫を謳歌しましょう。
  最後に腰を大きく動かした見事な競演を並べてみました。


腰痛シリーズ第1弾は終了です。 私自身の腰痛体験も踏まえて理路を整えてみた積りです。 ご質問ご意見等ありましたら「お問い合せ」からメールをいただければと思います。