日本理学整体学会公認
Therapeutic Manipulation without Pain
皆さん「インナーマッスル」という言葉は、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
文字通り「内部の(inner)筋肉(muscle)」で、どんなに筋肉隆々のムキムキマンでも外からは決して見えない、体の深部にある筋肉のことです。
したがって一口に「インナーマッスル」と言っても、いろんな筋肉が存在しますが、一般に健康本などで「インナーマッスル」というと「大腰筋」のことを指している場合がほとんどです。
「大腰筋」と言ってくれればいいのに、カッコつけて言いたいんでしょうね。
ということで、私もカッコつけて「インナーマッスル」とタイトルを付けましたが、最初に「大腰筋」のお話を、その後もう二つ重要なインナーマッスルとして「ローテータ・カフ」と「深層外旋六筋」に触れたいと思います。
まず最初に「大腰筋」ですが、どこにあるかというと読んで字の如く’腰’にあります。
「大腰筋」は腰椎と大腿骨を繋ぐ筋肉ですが、骨盤(腸骨)と大腿骨を繋ぐ「腸骨筋」と途中で合流しているので「腸腰筋」とも呼ばれます。
蛇足ですが、大腰筋に沿って腰椎と骨盤(恥骨)を繋いでいる「小腰筋」というのがありますが、これは半分くらいの人は欠損しているそうです。
大腰筋は左右1対、身体のほぼど真ん中を上下に通っています。
上に書いたように5つの腰椎から始まって、大腿骨の内側の「小転子」というところに付いています。
なぜ大腰筋が注目されるかというと、「腰痛のメカニズム(1)〜(3)」で書いた「腰部の湾曲」を作ってくれている筋肉だからです。
したがって、この筋肉が働いてくれないとうまく立っていられなくなります。
大腰筋と腸骨筋は、その位置と付き方から考えると以下の3つの運動をします。
1.太腿をお腹の方に近付ける(屈曲)
2.太腿を内側に閉じる(内転)
3.太腿を外側に捻る(外旋)
一方、腰の方に注目すると腰椎や腸骨を引っ張る方向に働きます。
したがって、大腰筋は腰椎の前湾を形成し、骨盤を前傾させる働きをします。
ところが、これらの筋肉がうまく働かないと腰椎の前湾が無くなるだけでなく、骨盤の前傾がさらに強くなり反り腰になってしまうことがあるそうです。
腰椎の前湾が無くなるのは分かりますが、骨盤を前傾させている力が無くなるにも関わらず、骨盤は前傾が強くなってしまう!?
「腰痛のメカニズム(おまけ)」で書いた「反り腰で腰椎の前湾もない」状態ですね。
大腰筋と腸骨筋は身体の中心にあり、腰椎と骨盤を正しい姿勢に維持する働きをしていますので、この力が無くなったときは他の筋肉の状態によって前にも後ろにも崩れることがあるということです。
さて、大腰筋や腸骨筋の本来の働きを取り戻すにはどうすればよいでしょうか?
これらの運動は3種類あると書きましたが、最も基本となるのは「太腿をお腹の方に近付ける(屈曲)」運動です。
膝と太腿をしっかりと大きく上げて歩きましょう!
トレーニングやエクササイズというと難しく考えがちですが、これだけでいいのです。
整体ではどうするか?興味のある人は受診してみてください。
ちなみに大腰筋を鍛えるとお腹が凹むと言っている本もあるようですが、これは正確に言うと間違っています。
大腰筋を鍛えるエクササイズは腹筋運動を伴いますので、結果としてお腹が凹むかもしれません(注)が、大腰筋と肥満は関係ありません。
「大腰筋を鍛えてダイエット!」というのは「風が吹くと桶屋が儲かる」に似ているかもしれませんね(笑)。
(注)確かに大腰筋を鍛えると、見た目、腰回りが細くなります。 このメカニズムについては、また別のところで述べましょう。