インナーマッスル(4)

  最後は「深層外旋六筋」です。 これはどこの’深層’かというとお尻です。 また、’六筋’というくらいなので6個あります。 左右合わせると12個です。
  これらは、野球の投げたり打ったりする動作やゴルフのスイングのときに働くと言われています。 脚を踏ん張って体軸を捻る運動をするときに、下半身から上半身に螺旋状のパワーを伝達するのに関係するのだそうです。 (何となくイメージは分かりますが、物理的に螺旋状のパワーなるものを説明せよと言われると、何のこっちゃよく分かりません…(^_^;)???)

  これらの筋肉をここで取り上げたのは、歩くのに重要だからです。 もしもこれらの筋肉が正しく働いていないと、脚を前に出したときに足先が真っ直ぐ前に向かずに、つまづいて転んでしまいます。 また「膝(ひざ)のお話」で述べた、何気ない動作のときに膝が真っ直ぐ曲げられる方向に踏み出すのにも一役買っています。
  いつまでも若々しく歩けるように、深層外旋六筋は中殿筋や小殿筋と一緒に非常に重要な筋肉なのですが、これらの筋肉を直接鍛えるのは非常に難しい。 股関節を外旋だけさせるのは困難ですから、外転若しくは伸展させながら外旋するという複雑な運動をしないといけません。
  深層外旋六筋の支配神経は、閉鎖神経と坐骨神経の筋枝です。 整体では、これらの神経を刺激することで、深層外旋六筋の働きを正常化させます。



中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋の運動ですが、
脚を振り上げたときにつま先を外に向けるように足を
外旋させることで、深層外旋六筋も鍛えることができます。
ローテータカフと同様に軽い荷重で行うことがキーポイントです。
ExRx.net Exercize Instruction より)


  以上、インナーマッスルとして3種類の筋肉群を紹介しました。 予定を超えて4回も書いてしまいましたが、インナーマッスルが他より特別重要な筋肉という訳ではありません。 ’アウター’だ’インナー’だというのは人間が勝手に区別して名前を付けただけで、筋肉の本質的な違いはありません。 寧ろ最近流行りの「インナーマッスル」という言葉に踊らされて、インナーマッスルを鍛えないといけないと焦って、偏った若しくは間違ったトレーニングをして欲しくありません。
  今回のシリーズの最初に書いたように「カッコつけて」言ってるだけなのです。 なので、基礎知識として紹介しましたが、日の当たらない深部で頑張ってる筋肉もいるんだなとくらいに思っていただければ十分です。