腰痛診療ガイドライン2012(4)

2013年6月16日

  ガイドライン最後の5章です。

第5章 予 防

エビデンスの要約

内容の検証(見解と意見)

  正しい運動や活動をすることは、腰痛予防にとってとても重要なことです。 5年ほど前にも似たようなことを書いていますので、興味のある方は読んでみてください。
  意外だったのは正しい姿勢や動作の有効性が検証されていないということ。 腰痛教室や腰痛に関する本では、必ず腰に負担のかからない荷物の持ち方や台所での立ち姿勢を教えています。 これだけ常識化しているのに、科学的根拠(エビデンス)が無いというのも面白いですね。
  われわれ整体師は、身体の姿勢や動作が正しくできるように調整することで、身体を治していきます。 早く有効なエビデンスが取得できることを願います。

  ここでも認知行動療法が出てきましたので、少し触れておきましょう。
  認知行動療法というのは、1970年代にアメリカで生まれました。 人間の気分や行動が認知のあり方(ものの考え方や受け取り方)の影響を受けることから、認知の偏りを修正することで問題解決を手助けする、精神疾患に対する治療方法です。 うつ病が社会問題となったことで、注目されてきた療法です。 非常に平たく言うと、プラス思考を持つことで生理的変化・行動変化を発生させる治療方法で、カウンセリングが主体になります。
  認知行動療法が腰痛の治療や予防に効果あるというのは、いたずらに腰痛に対して恐怖を持たない方が返って良いということのようです。 夏樹静子さんの『椅子がこわい』は、腰痛になった作者がさまざまな治療法を試すが効果もなく、ある日突然嘘のように治ったという話です。 この本の中では原因については一切触れていません。しかし、作者は恐怖感を取り払うためにあらゆる努力を払っていますが、恐怖感を持つこと自体が悪かったと解釈することもできます。

  東京都小平市に「認知行動療法センター」があり、詳しく知りたい方は、ここのホームページをご覧になるといいかと思います。


次回は まとめ です。