腰痛診療ガイドライン2012(5)

2013年7月27日

本シリーズの終わりに

  本ガイドラインは、4630件の文献の中から何段階かのスクリーニングを経て、最終的に191件の文献をガイドライン作成に引用しています。 そして、191件の文献全てについて、調査結果の概要と調査担当者が分かる日本語アブストラクトを作成し、それを章ごとにまとめた CD ROM が添付されています。 たいへん真面目に丁寧に調べられた、貴重な調査結果であると言えると思います。
  しかし、悲しいかな最初に述べたように要約が良くない。 調査結果を分かりにくく、あるいは歪曲しており、要約だけを拾い読みするとせっかくの貴重な結果が誤解されて伝わってしまう可能性があります。
  そのような懸念から、今回 ガイドラインに書かれている調査結果の解説を忠実に整理して紹介しました。

  本書の「前文」の最後に、非常に含蓄に富んだ記述がありましたので、最後にそれを紹介しておきます。

『本ガイドラインで重要な位置を占める「非特異的腰痛」注1 は「除外診断」的な意味合いを持つ。 科学・医学の発展により腰痛の病態がさらに解明されれば、この呼び名は消失し、今までとはまったく異なる腰痛診療の道筋が見える可能性がある。 未来の腰痛診療パラダイムシフトに向けて、本ガイドラインがその第一歩となることを強く切望する。』

  しかし理学整体は一歩先んじていて、すでにそのパラダイムシフトの緒に着いていると自負できると思います。 その理論については、またどこかで紹介したいと思います。

注1: 病理解剖学的な診断で原因を特定できない腰痛。 腰痛全体の85%を占めると言われている。