すべて対象は急性腰痛(4週間未満)です。
ベッド上安静より活動性(日常生活)を維持した方が良い
• 神経症状のない非特異的腰痛[Level I(1)]
• 非特異的腰痛[Level I(1)]
ベッド上安静と活動性維持とで疼痛や機能の面で差がない
• 坐骨神経痛を伴う腰痛[Level I(1)]
• 発症から72時間未満の急性腰痛患者[Level II(1)]
動けないのを無理に動こうとするのはダメですが、動ける範囲で動いた方が良いというのは、これまで言っていた通りですね。
運動はある程度はした方が良いと思います。 しかし、従来から言っていた通り運動の種類や強度はその人の症状や身体の形によって異なります。 したがって、どういう運動をどの程度の頻度でやるかは個人差があり、一概に言えません。
注目すべきは70%以上の人は手術をしたにもかかわらず効果がなかった点です。 身体にメスを入れると必ず何らかの後遺症が残ります。 安易な手術は絶対にしないでください!
有効 | 有効でない | |
---|---|---|
椎間関節注射・硬膜外注射 | 5件[Level I(2),II(3)] | 2件[Level II(2)] |
神経根ブロック | 3件[Level I(2),III(1)] |
この結果だけを見ると、神経ブロック・注射療法は有効な治療法と思われるかもしれません。
しかし、ガイドラインでは触れられていなかったのですが、神経ブロック・注射療法には非常に危険な副作用や弊害があります。
注射を打ったあと、立てなくなって車椅子生活になってしまった人もいます。
リスクを考えて、神経ブロック・注射療法は避けてください!
薬剤 | 効果 | 副作用 | |
---|---|---|---|
有効 | 無効 | ||
非ステロイド NSAIDs | 11件 [Level I(1)注1] | 2件 [Level I(2)] | 胃潰瘍・消化器官出血・腎障害[Level I(2)] |
COX-2阻害薬 | 4件[Level I(1)注1, III(1)] | なし | 心筋梗塞・脳血管障害 [Level I(1)] |
アセトアミノフェン | 6件[Level I(1)注1, III(1)] | なし | 肝障害[Level I(1)] |
筋弛緩薬 | なし | なし | 眠気・ふらつき【解説】 |
抗不安薬 | 5件[Level II(1)注2] | なし | 眠気・ふらつき[Level II(1)] |
抗うつ薬 | 3件[Level I(3)] | 1件 [Level II(1)] | 口渇・眠気・めまい・便秘 [Level I(1),II(1)] |
鎮痛薬 オピオイド | 3件[Level I(1)注1] | なし | 嘔吐・頭痛・口渇・眠気・めまい・便秘[Level I(1)] |
鎮痛薬 ノイロトロピン | 1件[Level IV(1) | なし | |
ステロイド | なし | 1件 [Level II(1)] | |
温湿布 | 2件[Level I(1)注1] | なし |
概して薬は効果があるという結果である。
但し、薬は多かれ少なかれ必ず副作用があります。
飲まずに済むものなら飲まないにこしたことはありません。
一方、最近はやりの「モーラステープ」については記述はありませんでしたが、非ステロイド抗炎症薬ですので分類としては最初のNSAIDsに入ります。
これまで私が聞いた範囲では、全員が「普通の湿布薬よりいい」「効果がある」と言ってますね。
ただし、副作用も強いので気を付けてください。
だいたい思っていた通りの結論です。 但し、牽引やコルセットは効果がないだけではなく、逆にひどくなる弊害が何例も報告されています。 特に牽引は絶対にやめてください。
整体は徒手療法になります。
ところが気を付けないといけないのは、日本ではカイロプラクターや整体師の公的資格はないということです。
したがって、その腕前や知識はピンきりです。
そのような中で、手前味噌になりますが、理学整体では本当に優れた知識と技術を習得した人しか認定してもらえません。
腰痛について知ることは重要ですが、間違った情報も蔓延していますので、正しい知識を身に付けることが大切です。
マスコミは正しい情報だけを流しているわけではありませんし、医者の言うことにも根拠のない古い慣習に基づくものがあります。
専門家が開いている腰痛学級でも、とんでもない間違ったことを平気で教えてたりしているものもあります。
正しい知識を手に入れるのは、実際とても難しいと言わざるを得ません。
認知行動療法については、次回の「予防」で説明します。
「第4章 治療」は以上です。
今回けっこう長くなってしまったので、「第5章 予防」は次回とします。